2020/11/02 19:45

冊子が届きました。

こちらは作者が2019年5月にイギリス北部のハートルプールに行った際のルポルタージュ作品です。
ハートルプールのストリートにある、空きビルの外をスタジオとして使用したようです。

11日間かけて現地の人々に話しかけたり、ローカルの新聞を読んでヒントをもらい、その外壁に作品を貼っていったようです。

一番最後に「ダラムまで乗せてくれてありがとう」や、現地の空きテナントの方へのお礼が綴ってあり、元々の知り合いじゃないのでは?
もしかしてほんとに現地に行ってから始まったことなのでは?といった感じが伝わります。


ほとんどの絵は現地で書いたもので、それらの絵を重ね、コラージュし、新しい作品に。
レシートなど人々が落としていったものまで使用しているらしいです。

この冊子を作成して何になるのか。ではなく、
この人にはこの体験が必要で、知らない土地の知らない人間が自分を助けてくれる過程が刺激になったのだろうと冊子をみて自然に思います。

実際、オレンジ色で何がなんだかわかりませんがこの人、ハートルプールが好きなんだろう。
とはわかります。
そこに行こうとは思わないけれど、そんな体験は羨ましいです。
最初の切符のページで、自分が大切にしている切符のことを思い出しました。

確か5年くらい前の切符で、それから毎日カードケースに入れて持ち歩いていたので表面が擦れ、何処行きの切符だったかも覚えていません。

日付と状況だけは覚えていて、2月13日に一人で少し遠方に行くために使った電車で、途中斜め前の席にスーツをビシッときめた男性が座り、その方が良い感じのスーツケースからいろんなものを出し始めます。

でも全部がスターウォーズグッズで、見てはいけないと思いながらも、釘付けになってしまいました。
(電車のイメージ)

電車の四人席には中央にテーブルがあり、そのテーブルの上に鞄の中身を出していきます。
出てきたものはスターウォーズ柄のパジャマやタオル等の生活用品で、自分専用のデスクみたいに使っていました。

最後に贈り物のようなテディベアと、誰かの写真、まだ何も書かれていないグリーティングカードを取り出し、その誰かの写真を眺めながら別の紙に一生懸命カードの下書きをしているようでした。

その時にやっと次の日がバレンタインデーだと気づき、明日バレンタインか。と冷めてふけっていると、
切符を確認しに車掌さんがきて「ハッピーバレンタイン、マダム」と切符にハートの穴を開けていきました。

その旅の目的よりもそんな道中がおもしろかったので、その使用済み切符を5年間も持ち歩いています。

あたりまえに持ち歩きすぎて、その切符の事を忘れていたのですが、些細な出来事を思い出させてくれる作品は自分にとっては「よくわからないオレンジの冊子」ではないと感じました。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


冊子:Hartlepool by Hand のページ